悲しそうな老人

熟年離婚が増えています。

熟年離婚とは一般的に、「20年以上夫婦生活を続けた後に離婚するケース」を指します。

その数は年間35,000~40,000件

全体の離婚数が220,000~230,000ですから、全体の15~16%が熟年離婚という計算になります。

 

昭和60年では20年以上連れ添った熟年離婚の数は20,434件だったのに対し平成24年では38,553件。

約30年で約1.9倍にも増加しているのです。

 

20年以上もパートナーとしてやってきたのに、なぜ離婚を決断するのでしょうか?

 

性格の不一致や価値観の違い、浪費癖や暴力など、一般の離婚でも上位の理由以外で、熟年離婚に特徴的な理由をまとめました。

子供のために我慢してきた

夫婦喧嘩に困る男の子

既婚者の30代~50代の女性と話をしていると、「子供が大きくなったら離婚を考えている」という人とちょくちょく遭遇します。

本当はすぐにでも離婚したいのに、子供のために我慢して、子供が自立してから離婚をするという夫婦が多くいるのです。

 

男性には全く告げずに、ひそかに離婚を計画している女性もいますが、円満離婚で話がついているという夫婦も珍しくないのです。

 

子供の前では会話はするが、普段はほとんど顔すら合わさない仮面夫婦

 

若い頃は好きという気持ちでカバーできていたけれど、恋心が冷めてしまうと相手の事がイヤになるケースが多いのです。

 

例えば、子供の出産時になると、妻が夫との性交渉を受け入れられず、その後、夫を男として見れなくなったり、

夫が妻を女性として見れなくなってしまって浮気をし始めたりする事もあります。

 

そういった男と女としてお互い見れなくなった時に、相手の本質を見て嫌になってしまう。

 

これは恋愛結婚によく見られる傾向です。

 

そうして子供が成人するまでは我慢して、子供が独り立ちしたのを機に熟年離婚してしまうのです。

旦那が定年退職してから家に居る

家にいる旦那

「亭主元気で留守がいい」というキャッチフレーズが流行りました。

「夫は外で仕事をして、お金だけ持って来ればいい」なんてことを、上記の女性たちは笑い話として口々に言います。

「家に居ても話すこともない」

「何考えてるのか分からない」

「家でダラダラされると目障りでイライラする」

そんな風に思っている夫が、定年で毎日家にいると、この先まだまだセカンドライフで人生を楽しみたいと思っている妻にとっては、邪魔な存在となってしまうのです。

 

さらに家事も一切手伝ってくれないような夫だと、なおさらです。

 

夫は引退できても私には引退がないのか!と憤りを感じてしまうのです。

 

実は熟年離婚の多くは妻側からの申し出が多いのです。

 

「会話がない」「何を考えているのか分からない」というのは、女性にとって苦痛です。

 

しかし男性は「それが普通。お互い言わなくても分かっている。」と思っている人も多いのです。

 

ですから、ある日突然離婚を突きつけられて、「何で急に?平和に暮らしていたのに・・・」とびっくりする夫も少なくないそうです。

妻が家事をしない

疲れるおばさん

 

女性もおちおちしていられません。

実は最近になって、男性側からの熟年離婚の申し出も増えているのです。

 

現役時代、アグレッシブに仕事をしていた男性は、定年後もセカンドライフを楽しもうと積極的に行動します。

 

そんな時、家にいる妻があまり家事をしなかったり、趣味などにも無関心だったりすると、ダラダラしているように見えて一緒にセカンドライフを楽しむ気も失せてしまうそうです。

 

そして、自分が頑張って働いていた数十年間、テレビを観たり、ゴロゴロしてばかりという楽な生活を送ってきたのかと思うと、憤りを感じたり、自分との価値観の違いを痛感するのだそうです。

 

また、更年期を迎えた妻が、何かにつけて口うるさく文句を言ったり、怒ったりするのに耐えられないという男性もいます。

 

今は熟年になっても元気な方がたくさんいます。

 

これからさらに人生を楽しもうとしている矢先、目の前で怠惰な生活を送られることで、気が滅入ってしまうのでしょう。

介護問題

車いすに乗るおばあさん

介護問題が理由で熟年離婚する夫婦も大勢います。

 

「相手の両親が介護が必要で、自分が面倒を見なければならない。」

「自分の体も辛いのに、何年介護を続けなければならないのだろうか・・・。」

 

介護というのは精神的にも肉体的にも、大きな負担がかかります。

 

また、相手自身の介護も必要になってくる事を考えた場合、自分が面倒を見きれないと熟年離婚をする方も多いようです。

 

特に相手の不摂生が原因の、生活習慣病によって介護が必要になる可能性がある場合は大変です。

 

「ずっと注意してきたお酒、タバコ、食生活が原因なのに、なぜ私が一生面倒を見なければならないんだ!」

という気持ちになってしまうのです。

 

介護が必要になる前に見切りをつけて熟年離婚しようという思いが浮かんで、別れてしまうのです。

年金の問題

増加するグラフ

熟年離婚が増加した要因の1つに、2007年に施行された「年金分割制度」という物があります。

 

この制度により夫の掛けていた年金の一部を分割して、離婚した妻も受給できるようになったのです。

 

老後のお金の面が心配な方も大勢います。

 

離婚したくてもお金が心配で別れられなかった夫婦も、この制度のおかげで熟年離婚できるようになったのです。

 

ただし、この年金分割制度は、厚生年金と共済年金のみ対象で、国民年金には適用されないので注意しましょう。

離婚後に後悔する人も

後悔する老人

長年連れ添った相手がいなくなって清々したと思っていたのも一時的なもので、後から熟年離婚を後悔する人もいます。

 

それはお金の面での後悔と、孤独感による後悔です。

お金面での後悔

それまでずっと社会経験がなく、専業主婦でいた方は、お金の面の心配をあまりしてこなかった方もいます。

 

老後に楽しい人生を送るためには、年金だけでは足りない方も多いのです。

 

いざ熟年離婚して、自分で生計を立てなければならなくなった時に働きに出ようと思っても、年齢的に賃金の安いパートしかなく、わずかな収入のために毎日働く厳しさに参ってしまうのです。

 

その時になって、元夫がどれだけ頑張って働いてきたのかを感じる人も多いのです。

孤独感による後悔

いざ相手がいなくなると、いくら憎い人だったとしても、虚無感が生まれる場合もあります。

 

そばにいて当たり前だった空気のような相手。

 

心にぽっかりと穴が開いたように寂しくなってしまうのです。

 

そして、「私ももっと相手にこうすれば、うまくいったんじゃないか。」

「自分にも原因があったのではないか。」

「当たり前に思っていた相手のこういう所も、優しさだったのではないか。」

などと、相手に対しての思いがこみ上げてくるのです。

 

老後になると友達も少なく、子供や孫も頻繁に会いに来てくれるわけではない方も多いです。

 

残りの人生をひっそりと1人で生きて行く孤独感に耐えられず、憎くてもそばにいて欲しいと後悔してしまうのです。

熟年離婚を避けるために

楽しいシニアライフ

そんな熟年離婚をしないためにも、普段からの夫婦のコミュニケーションが大切なのです。

 

「ローマは一日にしてならず」というように、日々の積み重ねが、仲良く楽しい老後を送る唯一の秘訣なのです。

 

どんなに忙しくても、

相手と会話をしてコミュニケーションを取る

一緒に出掛ける日を作る

優しさや思いやりを忘れない

こんなすぐにでも出来ることを数十年もさぼっていたら、熟年離婚しても仕方ないのです。